ハロウィンは、もともとはイギリス・ケルト地方で収穫の時期を終えた10月31日を1年の終わりとして、新年を迎える前の厄払いのような感じで続けられていたお祭りです。悪霊を寄せ付けないよう、怖い恰好をして町内を練り歩いていたんだそうです。スピルバーグの映画「E.T.」の大ヒットによって、日本でもハロウィンのお祭りが広く知られるようになり、いつしか日本の季節行事の一つにも成っているようですね。
今年もクリスマスがやってきました。コロナ禍2回目のクリスマスです。昨年は、クリスマス会(生活発表会)の開催を断念しましたが、今年は密を避けて感染対策を徹底し3グループに分けて開催しました。
園のクリスマス会は、演目をこなすための特訓のようなことはしません。園児一人ひとりが今年度取り組んできたことや好きな遊びをベースに、演目を組み立て台本に仕上げていくからです。
歩行がしっかりしてきた子、手足が強くなって身体を支えられるようになった子、バランス感覚を養ってきた子、指先の細かな操作が上手になった子、認知能力が発達しさまざまなマッチング(形、色、文字など)ができるようになった子、音楽やリズムに合わせて身体を動かせるようになった子、先生の指示・誘導に従って行動できるようになった子、状況を判断して自発的に行動できるようになった子、騒然とした環境下でも自己の心と体を統制(コントロール)できるようになった子、キャストになりきって演じられるようになった子、台詞を声に出して言えるようになった子と、一人ひとりできるようになったことは違いますが、我が子の成長はお父さんお母さんがいちばん分かります。『一年前にはこんなことできなかった』のオンパレードではなかったかと思いますが、何より子どもが生活発表を楽しんでいる姿を観ること、それが親御さんにいちばんの嬉しいことだったのではないかと思います。
9月上旬、なかなか新型コロナ禍の収束が見えない中、運動会の中止と共にクリスマス会についても演技をビデオ撮影し、DVDにして各家庭に配布するようご案内していました。けれども10月中旬、前期末懇談が始まるタイミングに収束し始めた新型コロナ禍の状況を受けて臨時職員会を開き、クリスマス会の開催を決定しました。
コロナ禍に入ってからの2年近く、感染拡大の波が起こる度に出鼻をくじかれ、正に学習性無力感(1967米・心理学者セリグマン提唱)を世界中が味わってきたのではないかと思います。学園の職員も同じでした。それがクリスマス会の開催を決めて以降、それまでのアイドリングが吹かし気味になって、懇談を終えてクリスマス会モードに入って以降は、アクセルをべた踏みするかのように職員に明るさが戻ってきました。園児が降園し、清掃・消毒作業が終了すると、五月蠅い程のアクセル全開で勢いが戻ってきたというか、職員みんなが生き生きして私までウキウキしました。
職員は年長Aグループ、年長Bグループ、年中少Cグループ、それぞれ担当に分かれてどんな演目にするか、何をテーマにするか、子ども一人ひとりの見せ場をどう演出するか、あーでもないこーでもないと、ムクドリの如く延々とさえずり続けます。そして、粗方(あらかた)台本が固まってくると、大道具・小道具製作の残業が始まります。残業は園長の超過勤務命令に基づいて発令されることになっていますが、そんなの関係ありません。残りたいから残ります。作りたいから作ります。それもこれも全て子どもたちのために(勿論、手当は付けてます-笑)。職員はシーンを思い浮かべ、子どもの喜ぶ顔を思い浮かべ、お父さんお母さんの喜ぶ姿を思い浮かべながら製作物を拵(こしら)えていきます。ですから、自然とニヤニヤ。時には思いの外(ほか)面白くできあがって「これ絶対可愛い!」「これ絶対○○ちゃんに似合う!」「これ絶対ウケる!」なんて言いながら爆笑したり、園舎には笑いが溢れていました。そんな職員の姿を観ると、改めて『行事って職員にも必要なんだなぁ…』と…思い返してみれば『自分もそうだったなぁ…』と、かつての感情が甦って来ました。そう思わせたのは、良くも悪くもコロナ禍ということなんでしょう。改めて日常の尊さを思わされたことでした。
さてさて、当日はというと。
年長Aは「トイストーリー」を題材に、子どもたちがそれぞれキャラクターに扮し、助け合いながらパーティーの準備からパーティーの終わりまでが描かれました。
年長Bは「どうぶつサーカスはじまるよ」の絵本を題材に、子どもたちがいろいろな曲芸や手品を披露。最後は空中ブランコで締めました。
年中少Cは「せんろはつづく」の絵本を題材に、子どもたちが建設作業員に扮して、トンネルを掘ったり、河に橋を架けたり、踏切を設置したり、力を合わせて難関を突破し線路を敷設していく姿が描かれました。
お父さんお母さんを迎えて、いつもの練習とは異なる雰囲気の中で普段通りの力を発揮できなかった子や、体調を崩してお休みしてしまった子もありましたが、殆どがお父さんお母さんを前に練習以上の力を発揮していました。自分達のフィールドにお父さんお母さんがいる、それだけで嬉しくて嬉しくて120%の力を出していたように思います。やっぱり、応援の力、お父さんお母さんの存在って大きいんだなぁと、つくづくそう思わされたことでした。
クリスマス会を通して、子どもたちから成長という名のプレゼントを受け取ったお父さんお母さん。クリスマスにはきっと、お父さんお母さんの祈りの込もったプレゼントが、サンタさんから子どもたちの元に届けられることでしょう。