ハロウィンは、もともとはイギリス・ケルト地方で収穫の時期を終えた10月31日を1年の終わりとして、新年を迎える前の厄払いのような感じで続けられていたお祭りです。悪霊を寄せ付けないよう、怖い恰好をして町内を練り歩いていたんだそうです。スピルバーグの映画「E.T.」の大ヒットによって、日本でもハロウィンのお祭りが広く知られるようになり、いつしか日本の季節行事の一つにも成っているようですね。
イヌとネコ、その違いは何でしょう。種別が異なるというのは勿論ですが、それぞれに習性も異なります。最も大きな違いは、群を成すか成さないかということです。但し、同じネコ科でも、ライオンは1匹のボスに8~20頭のメスがハーレム(プライド)を形成し、狩りの際には交替で仔ライオンを保育することで知られていますが、これは特例で、基本ネコ科の動物は群を成しません。
これに対しイヌは群れてヒエラルキー(支配階層)を形成し、それぞれに力を示して順位を決めます。
飼いイヌの場合は、飼い主をヒエラルキーの頂点に自分より上位に対して従順をアピールしますが、自分より下位であると認識した家族に対してはマウンティングをしたり支配を試みようとすることがある一方で、母性を発揮し面倒を看ようとすることもあります。そしてイヌがネコと異なる最大の特徴は、ネコに比べてヒトの感情を読む力に秀でているという点と、表情筋を用いてある程度感情を表わすことができるという点です。(ネコに感情がないということではなく、ネコは体毛や尻尾、鳴き声でその時の気分を表出します)
私は過去に犬6匹、猫4匹を飼ったことがありますが、その経験からイヌ・ネコの習性を人間の心理発達をベースに捉え直してみると、これまでとは違った視点でイヌ・ネコを捉えられる気がします。どういうことかというと、人間の心理発達過程の途中でイヌ・ネコの心理発達が完了するという捉えです。そう考えるとイヌ・ネコそれぞれの習性にも、それなりに説明がつくように思われるからです。
イヌは人間の2~3歳児の知能を有すると言われます。私が子どもの頃に我が家で室内飼いしていた盲導犬のシェパード(♀)は、アメリカで訓練を受け20程度の英単語(コマンド)を理解し命令に従うことができました。2~3歳児程度の知能であるとすれば、当然のこと1歳半の発達課題「自我の芽生え」を経過していて、自己と他者とが別々の意識に生きていることを理解できていることになりますから、相手の感情を慮(おもんばか)る忖度(そんたく)もある程度できると考えられます。これらを身に付け、次第に集団(群)への参加意識が高まっていくことになるのですが、そう考えるとイヌが群を形成する理由も納得がいきます。
これに対してネコは、おおよそ人間の1歳半以前の知能を生きているように思えます。大まかに言えば、イヌは幼児、ネコは乳児と捉えられ、心理的には“独歩を獲得した人間の赤ちゃん時代”を生涯生き続けると捉えることができます。つまり、ネコはイヌと違って飼い主を“ご主人様”ではなく、“親”のように慕って甘えたり、何か不安を感じた時にはピトンとくっついて一体化を試みようとするなど、より自己中心性が強いと考えられます。
幼児タイプのイヌは、教育によってある程度善悪の判断ができるようになりますから、禁忌を破ってしまった時にはバツ悪そうに隠れたり、うなだれたり、伏せて急所の鼻先を両前足で覆い隠したりします。対して乳児タイプのネコは、善悪の判断からではなく飼い主の陰性感情を察知してその場から逃げたり、飼い主が陰性感情を伴っていなければ全く悪びれることもありません。飼い主が「ダメ~!」と言っても、飼い主の顔色を窺いながら陰性感情は無いと判断すれば、テーブルの上の物を前足でチョンチョンつついて下に落としてしまったりもします。全く好奇心旺盛な赤ちゃんの姿そのもので、躾をしようと叱っても怖がらせてしまうだけなので、習性を利用しながら人間の側でネコに合わせてやることが肝になります。
そう言えば、もう一つ大きな違いのあることを思い出しました。それは、ネコの方が夜行性の習性を色濃く残しているということです。そのためにネコは昼間寝ていることが多く、“ネコ”という呼び名も「寝る子」が転じたと言われています。
最近はコロナ禍の影響もあって飼いネコの数が飼いイヌを上回ったと言われ、ホームセンターのネコグッズコーナーの充実度が上がっていることやYouTubeやテレビでネコ番組が増えたことを実感します。ネコを室内飼いする場合、昼間家を留守にしている間ネコは殆ど寝ているだけなので散歩はしなくて良いし、鳴き声をご近所にうるさがられることもなく、イヌよりも飼いやすいと感じる人が増えているのかもしれません。
近年は犬、猫をペットとしてではなく、家族(ファミリー)として迎え入れる人が増えていると言われます。何故、私たちは犬、猫を飼うのでしょう。自分自身が飼っていて気付いたことが一つあります。それは、彼ら彼女らが徹底して私たち飼い主に自己肯定感を与え続けてくれるということです。
私が外で嫌なことを経験して家路についても、関係なくいつものように私を信頼し頼り切ってくれ、まるで『あなたは、あなたのままでいいんだよ』とメッセージを与え続けてくれているように感じます。実は、これがいわゆる“癒し”の正体なのではないかと、そんな風に思えます。
我が家では、一時期イヌとネコと同時に室内飼いしていたことがありました。最初のうち、イヌを「シャー!!」っと威嚇していたネコも、次第に仲良しになりイヌに寄りかかって一緒に寝るようになりました。ネコに群の序列に対する意識はありませんから、ネコの関心は自分を庇護してくれる対象かどうかということだけです。極端な言い方をすれば、自分のペースで甘えさせてくれる相手なら誰でも良いのです(そうは言っても警戒心が強く、ネコの信頼を勝ち取るのはそう簡単ではありません。また、しつこい人は嫌がります)。
YouTubeの番組「タイピー日記」で犬と猫が戯れる姿をご覧になることができます。私も彼と同じに犬派でもなければ猫派でもない、どっちも派です。イヌ・ネコそれぞれに良さがあり、それぞれに違った可愛さがあります。乳児タイプがお好きならネコ、より感情交流のできる幼児タイプがお好きならイヌを選ばれると良いでしょうし、どっちもお好きならイヌ・ネコ同時飼いをお奨めします。