ハロウィンは、もともとはイギリス・ケルト地方で収穫の時期を終えた10月31日を1年の終わりとして、新年を迎える前の厄払いのような感じで続けられていたお祭りです。悪霊を寄せ付けないよう、怖い恰好をして町内を練り歩いていたんだそうです。スピルバーグの映画「E.T.」の大ヒットによって、日本でもハロウィンのお祭りが広く知られるようになり、いつしか日本の季節行事の一つにも成っているようですね。
復活祭は、クリスマス(聖降誕祭)に次ぐキリスト教三大祭の一つとして知られていますが、実は歴史上最も古く(紀元後2世紀頃)から祝われてきた記念日で、4世紀から祝われ始めたクリスマス以上に意味深い記念日と言えます。
聖書が「旧約=旧い契約」と「新約=新しい契約」に分かれているように、キリスト・イエスの復活は、神と人との間に新しい契約を完成・成就する極めて重要な出来事でした。
その契約とは、神の独り子イエスが
“人として”生け贄(罪を犯したことがなく一点の汚れもない者)となり、人類すべての罪を背負って死に、自身の命を代価にわたしたちを贖(あがな)ってくださったということです。そして、
“御子なる神として”復活を遂げて生きたまま昇天し、主イエスの死と復活が紛れもない神と人との間に結ばれた契約であることを証明しました。
ちなみに、「贖う」とは「買い戻して身請けする」の意で、わたしたちを「罪」の奴隷から買い戻し、罪の結果である「死」から解放して永遠の命を与え、神の国(天国)の民としてくださることを意味します。クリスチャンはこの契約(約束)を信じる者たちです。
ところで、イースター(Easter)は、チュートン人(ユトランド半島に住んでいたゲルマン民族の一部族)が崇(あが)める春祭りの女神=Eosterを起源とし、キリストの復活と直接は関係のない言葉です。というのも、そもそも復活祭は「パスカ=pascha(ギリシャ語)」と呼ばれていて、古くは旧約聖書時代の「過ぎ越しの祭り=Pesah(ヘブライ語)」を表わしていましたが、同時期にキリストの「復活」が起こったことから、両方を表す言葉としてパスカを用いていました。それがどうして後に「イースター」になったのかというと、当時ローマには様々な民俗宗教の春祭りが乱立していて、それらを習合させ春祭り=イースターと呼ぶようにしたんだそうです。ところが中世になって異教の春祭りは廃れていき、キリストの復活祭の意味だけが残ったと伝えられます。
ご存じの方もあるように、キリスト教会ではイースターの日に鶏卵(ゆで卵)を贈る慣わしがあります。これは、四旬節(受難節の約40日間)の期間中、古くは日中に断食をしたり動物性食品の摂取が制限されたりしていて、イースーター・エッグにはその終了を祝う意味が込められていました。丁度、精進落としのような感じだったんだろうと思います。
他にも、イースター・エッグに関連することとして、キリストの復活を、時のローマ皇帝が「復活など、赤い卵と同様にありえない」と言ったことに、マグダラのマリアが皇帝の元に赴き、キリストの血潮を象徴する真っ赤に塗った卵を贈り、「イエスが天に上げられた」と説いたことが伝えられ、ゆで卵彩色の始まりとされています。卵の殻が墓を、剥き身が墓を抜け出して復活する命をそれぞれ象徴し、カラフルに彩色されたゆで卵をあちこちに隠して探す“イースター・エッグハント”は、子どもたちに楽しみなゲームの一つです。
もともとはイースター・ラビットが隠した卵を、庭に探すゲームでしたが、時代と共にお菓子を詰めた卵形のカプセルを探すゲームに変わってきているようで、確かに、これだと卵アレルギーの子どもも参加できます。何より、ゆで卵とお菓子とじゃぁ、子どもたちの卵を探すモチベーションも全然違うでしょうからね。
さて、キリスト・イエスの復活は十字架に磔(はりつけ)にされて三日目の朝の出来事ですが、それが何月何日だったのか、はっきりとした記録は残っていません。解っているのは、十字架に磔(はりつけ)られたのが金曜日で復活が日曜日だったということです。そのため永い間教会毎にバラバラにイースターを祝っていたようですが、8世紀になって「春分の日の後の満月から最初の日曜日」に定められました。これ以降イースター(復活祭)は年によって日付が異なる記念日となりました。因(ちな)みに、今年(2023)のイースターは4月9日(日)です。
ついでに言うと、ユダヤ教では週の最終日・土曜日(天地創造を終えた神が7日目に休まれた)を安息日として礼拝を守っていますが、キリスト教では復活の日曜日に礼拝を守り、神様との新しい契約を象徴してきました。そういう意味で言えば、キリスト教会は、“二千年に渡って、年間を通じ毎週日曜日にイースターをお祝いしてきた”と言えるのかもしれません。