光の子学園について
知的障礙のある就学前のお子さんを毎日お預かりし、発達支援を行う施設です。
「発達」のエッセンスがあり、
エネルギーがある
「好きこそものの上手なれ」ということわざ通り、好きになれば子どもはどんどん物事を吸収していきます。勿論、子どもによって吸収の速度はまちまちですが、半世紀に及ぶ当園の研究と実践から、目の前の発達課題に“取り組ませる”ではなく、発達課題を“好き”になる(遊びの中でor遊びのように楽しむ)こと、“やりたい”という意欲を育てることが、何より大切な発達支援と考えます。このとき、忘れてはならないポイントとして、遊びを設定する側がその日その時毎に"明確な意図と目的をもって物的・人的環境を整え、発達を促進する適切な関与を行う"必要があります。
ただし、葛藤なき成長はないと言われるように、成長(学習、習得)に“葛藤”は付きものです。しかし、“させられる葛藤”と、自らが主体となって“する葛藤”とでは、子どもの受け止めは大きく異なります。主体が自分の側に置かれていると分かる時には“葛藤”が“意欲=頑張り”に結びつきますが、そうでない場合には、“苦痛”となって意欲を減退させ、自我を弱めてしまうこととなります。
当園では、子どもの“できるようになりたい”、“上手になりたい”でも“今はまだできない”葛藤に寄り添いながら、安心を与えて不安を取り除き、子どもがチャレンジする心を根気強く支えます。
光の子学園のポイント
4つの子ども像
- ・人が大好きで、周りから愛される子ども
- ・自発的に活動できる子ども
- ・思いやりと協調性のある子ども
- ・たくましい生活力のある子ども
子どもは親子(主に母子)の二者関係における”愛着”をベースに親以外の他者とつながり、他者との間に”信頼”を育みます。そして、”信頼”をベースに二者関係から三者関係、集団へとその関係性を拡げる発達のプロセスを歩みます。ただ、自閉症傾向を有する子どもの場合には、不安からこうしたプロセスを避けるかのようにバターン(行動)に逃避·固執することがあります。しかし、根気強くその子が抱える不安に寄り添い、『不安を感じても大丈夫』という安心の経験を繰り返し与えることにより、不安が取り除かれていき、人との関わりを心地よく感じられるようになって、人を大好きになることができます。人の”間”に生きる人間であればこそ、当園では、”人を大好きになる”ことを第ーに追い求めていきます。そうして育んだ"こころ"が基盤となって、全ての療育、発達・成長を支えます。
(集団支援)
各クラスの定員は最大12人。ひよこクラス・うさぎクラス・ばんだクラスの3クラスに分かれますが、当園では異年齢混合の縦割り保育を採用しています。それは、子どもによって発逹段階がまちまちで、同年齢を集めた横割りに、期待する効果が得られ難いことによります。むしろ様々な年齢、様々な発逹段階の子どもを一緒にすることで、相互に刺激し合うグループダイナミクスを産み出すことが、子どもの利益に適うと考えます。
発達段階的にお兄ちゃん、お姉ちゃんの子が身近なロールモデルとなってリードし、互いに互いを思いやったり助け合うことが自然と行われ、子ども同士で育ち合うことが日常となっています。
(生活技能習得)支援
発達課題におけるADL(日常生活動作)の習得を、集団の中で個別に取り組んでいます。主なものに食事技能、排泄自立、衣服等の着脱がありますが、半世紀に及ぶデータと経験に基づく当園独自のメソッドとプログラムにより、楽しみながら習得することを目指していきます。自閉症傾向を有する子どもの場合には、日常の様々な行動に固執を示すことがありますが、安心を与えながら徐々に不安を取り除くことによって固執性を和らげられるよう働き掛けます。ここでも重要になってくるのが、大好きな人(先生)と一緒に葛藤を乗り越える経験とプロセスです。
この他にも、社会生活技能(あいさつ、おつかい、お集まりの司会当番や役割、平行遊び、ルールある遊びなど)の習得と、有効感や有用感の獲得に、集団の中で個別に取り組みます。
(学習)支援
原則、2週間に1回程度引き抜きの形で個別療育(学習)の時間を持つようにしています(行事前には同じ頻度で実施できないこともあります)。
主に取り組むのは認知課題であったり言語課題ですが、子どもによっては運動(感覚統合)の課題に取り組むこともあります。
テスターおよびトレーナーとなるための研修を修了した職員が、新版K式発達検査やポーテージプログラム他を用い、年間を通じて発達をアセスメント(評価)しながら、児童発達支援管理責任者策定の個別支援計画に基づいて、その時々に最も効果的な個別課題を選定し実施しています。
子どもにとって個別療育(学習)の時間は、先生を1対1で独占できる大好きな時間で、もっともっととせがむ子どももいます。
ヘルピング(救助要請)=困った時に誰かしら信頼できる人に助けを求めたり相談できる力。
コミュニケーション(意思伝達)=意思や情報を正しく伝達する力。
コーピング(葛藤処理)=思い通りにならない時に生じる葛藤を収め(気持ちに折り合いをつけ)たり処理する力。
アサーション(自己表現)=自己を様々な方法<身体、言語、芸術、役割等>を通じて表現する力。
スタディー(学習)=上記4つを経験として蓄積し、次に生かす力。
の五つがあります。
園児一人ひとりに職員が寄り添い、より円滑に社会生活を送ることのできる対人スキルの習得に努めています。